量刑ではどのような要素が考慮される?
量刑ではどのような要素が考慮されるのでしょうか。
量刑の考え方は?
現行刑法上、量刑基準を示した規定はなく、刑の量定は裁判官の自由裁量に委ねられているといえます。
もちろん、刑事訴訟法381条、411条2号において、量刑不当は上訴理由となっておりますので、裁判官は、個々の具体的犯罪の情状に適合した合理的な刑を算定することになります。
この点、起訴便宜主義を定めた刑事訴訟法248条には「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」と規定されており参考になります。
また、昭和49年に法制審議会が決定した改正刑法草案48条には、刑の適用の一般基準として「刑は、犯人の責任において量定しなければならない(1項)、刑の適用にあたっては、犯人の年齢、性格、経歴及び環境、犯罪の動機、方法、結果及び社会的影響、犯罪後における犯人の態度その他の事情を考慮し、犯罪の抑制及び犯人の改善更生に役立つことを目的としなければならない(2項)」と規定されております。
こうした規定から考慮すると、1.過去の犯罪行為に対する責任、2.将来の犯罪予防(一般予防、特別予防)の両者を併せて量刑事情が考慮されていると判断することができます。
量刑の基礎となる事実は?
量刑の基礎となる事実は、以下です。
犯情事実
犯行に至る経緯、動機、目的、計画性、犯行態様、結果など
一般情状事実
生育歴、年齢、前科・前歴、反省、示談、被害弁償等の被害回復など
上記の量刑基準を参考にして、被疑者、被告人の方にとってよりよい情状事情を判断していくことが望まれます。