少年事件
概要
少年事件は刑事事件の一分野ではありますが、成人の刑事事件とは様々な面で異なった扱いがなされます。少年事件においては、少年の健全な育成のため、教育的見地から少年を保護し、将来に向けて更生させるための適切な処分を行うという面が重視されるためです。
家庭裁判所の審判に付される少年は、(1)犯罪少年、(2)触法少年、(3)ぐ犯少年に区別されます。
犯罪少年とは、満14歳以上20歳未満で罪を犯した少年をいい、男性だけでなく女性も含みます(以下、同じです)。触法少年とは、14歳未満で罪を犯した少年をいいます。ぐ犯少年とは、保護者の正当な指導監督に従わない性向があるなど、その性格、環境に照らして、将来、罪を犯すおそれがある少年を言います。
少年事件では、捜査機関が捜査により犯罪の嫌疑があると判断した場合、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています。事件送致後、家庭裁判所は少年を鑑別所に収容するか否かの決定を行います。少年鑑別所での観護措置の期間は、通常4週間以内、最大で8週間となります。少年鑑別所では、少年の性格や物事に対する考え方、生活環境などに関する専門家の調査が行われます。家庭裁判所は、その調査結果をもとに、審判において少年に対する保護処分(保護観察や少年院送致など)に関する決定を行います。保護処分の内容は、非行内容や保護の必要性を考慮して判断されます。
他方、家庭裁判所が、少年に対して保護処分ではなく通常の刑事処分を科すことが相当であると判断した場合には、検察官に再度送致し、その後成人の場合と同様の公判手続が行われることになります。
弁護活動のポイント
少年は、成人に比べて法的知識に乏しく、コミュニケーション能力も未発達であることが多いため、取調べにおいて捜査機関の誘導に乗りやすいなど、防御能力も未熟な傾向にあります。そのため、弁護人を通じて今後の手続や防御方法について説明を行い、適切な対応をしていく必要があります。
また、少年は成人に比べて人間関係や生活状況といった周囲の環境に影響されやすいため、周囲の環境の調整が少年の更生にとって成人以上に大きな影響をもたらすことになります。そのためにも、弁護人がご家族のサポートを得ながら少年に対して働きかけ、生活環境を立て直し、自ら犯してしまった非行に向き合えるような環境を整えることが重要です。
弁護士が本人に対して手続の流れや今後の見通しについて十分な説明を行い、少年の不安を取り除きます。そのうえで、家庭裁判所等に対して少年が非行を犯すに至った背景事情や少年の反省状況、周囲の環境の改善状況、今後の更生可能性等に関する主張を行っていきます。
少年事件においては、少年が問題となっている非行事実を犯したか、少年の現在の性格や環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があるかが審理の対象となるため、この2点について弁護活動を集中させることになります。
少年事件においては、成人の事件以上に、ご家族のサポートが重要になってきます。弁護士のアドバイスに基づき、ご家族が一致団結して少年を迎え入れる環境を整えることで、通常よりもよい結果につながる可能性が高まります。弁護士法人アルテでは、このような少年事件の特性を考慮して、きめ細かい対応を心がけています。